「人的資本経営」の実現を握るカギとは
皆さま、こんにちは。KECビジネスコンサルティングの中嶋です。
気づけばもう10月。。。 2022年も残すところ3ヵ月を切りました。
今年に入り、企業経営において急速に飛び交うようになった 「人的資本経営」、
皆さまはどのように捉えられていますでしょうか。
私たちKECでは、企業の永続的発展に繋がる人づくり・組織づくりを
ご支援させて頂いておりますが、この「人的資本」の観点を踏まえまして
“人材” と “組織” の成長について改めて考えてみたいと思います。
ヒトは、「人的資源」? 「人的資本」?
これまで、我が国の企業においては「人材」=「人的資源(Human Resource)」
と捉え、人材は「コスト」とみる考え方が主流となっていました。
これは、もはや崩壊しつつある「終身雇用」「年功序列」による
雇用の流動性の低さを背景として、ヒトは資源として既にあるもので
「消費されていくもの」という “日本的雇用” の特徴が
色濃く出ていたと考えることができます。
ですが、最近では経産省から発表されている人材版伊藤レポートが
注目のきっかけとなり、「人材」=「人的資本(Human Capital)」であり、
ヒトは能力・意欲・経験の向上と蓄積によって「価値を生み出すもの」
と考え、「投資」することで価値を増やすべき企業の資本、
つまりは「価値創造の源泉」であるという考え方へのシフト
“変革” の必要性が叫ばれています。
「人的資本」への変革加速と“情報開示”が求められる背景
2022年8月30日に「人的資本可視化指針」が発表されました。
ここ数年の時代の潮流から、可視化の必要性について、
次の点が影響していると考えられています。
1)「SDGs(持続可能な開発目標)」の取り組みとの融和
SDGsの17の目標の中で「働く」ことが関係するものも掲げられており、
日本の政府はその取り組みの一環として、働き方改革やダイバーシティの
推進を掲げ、各企業においても雇用環境の改善や働き甲斐の向上について
取り組んでいくことが求められています。
2)「ESG投資」への関心の高まり
これまで「投資」は、財務諸表に現れる「モノ」と「カネ」の可視化で
企業の価値を判断されてきましたが、IT産業の台頭によって、
もはや「モノ」と「カネ」だけでは企業の価値は測れなくなっています。
環境変化の激しい状況にあっても、新たなサービスや価値創出が
できるのは、結局は「ヒト」の能力だったりアイデアだったりするわけです。
こうした背景を受け、環境(E)、社会(S)、企業統治(G)に取り組む企業が
長期的な成長を実現できる可能性が高いと考えられるようになり、
これらへの取り組みが投資判断の基準になってきているため、
ここでいう “社会(S)” に該当する人的資本の情報開示が
求められているのです。
人的資本経営の実現に向けて~人材版伊藤レポートから考える「人材戦略」~
2022年8月30日に「人的資本可視化指針」が発表されたこともあり、
ますます関心が高まっている「人的資本経営」ですが、
伊藤レポートのなかで
「持続的な企業価値の向上には、ビジネスモデル・経営戦略と
人材戦略が連動していることが不可欠である」と提言されています。
現時点においては、可視化の義務付けは大企業・上場企業の課題と
考えられがちですが、実際にその可視化は、「何のために」行うのか?
を考えれば、企業規模は関係ありません。
規模がどうあれ、企業が永続的に発展し、価値を高めていくには、
そこで働くヒト=人財の “成長” と “価値向上” を考える必要があります。
経営戦略と人材戦略の連動を考える前提として、
「一人ひとり、“個人” の能力向上、意欲向上、パフォーマンス向上が
“組織” のチカラとなっていくには、目指している、向かっている方向性
や目的が同じであること」
すなわち、
『ゴール(目的・ビジョン)が明確な組織であること』
『企業の価値観・存在意義が皆で共有できていること』
『社員がイキイキしてモチベートされていること』
が、まずは基盤として必要ではないでしょうか。
私たちKECでは、これからの経営・組織づくり・人づくりのカギとして
“Well-being” をテーマに取り上げた交流勉強会を来たる10月29日
に実施いたしますので、ぜひともご参加をお待ちしております!!